映画感想

ネタバレになるので隠します。
上の感想は隠さないのにこの部分だけ隠すのが俺流。


金剛地の役は「売れないミュージシャン」斉藤。
CDを(おそらく自主で)なんとか作ったはいいが、全く売れず*1、30過ぎてもストリートミュージシャンをやっている男。
それでも親にかけた電話では「大丈夫」「順調だよ」と言ってしまう。本当は弱音を吐きたいのに。


夜、いつものように下北沢のシャッターが下りた店の前で座り込んでいると、隣にさびしそうな顔をした女性が。
その様子に何か思うところがあったのか、立ち上がってギターを持ち、彼女に向けて歌をうたう。
しかし届かなかったのか、彼女はその場を去ってしまった。
ふと、たまたま反対側に座っていた、やはりさびしそうな顔をした別の女性に気付き、彼女に向けて歌をうたう。
すると彼女はみるみるうちに笑顔になっていく。
立ち上がった彼女の周りをぐるぐるまわりながらうたう斉藤。
彼女は恋人のもとへ向かう勇気をもらったのだ。


朝。斉藤自身の状況は全く変わらないまま。
踏み切りを通る電車の音で自分の叫び声をかき消して行く。


本気のネタバレになってしまったので、とりあえず文字色を白にしておきました。
我ながらこっぱずかしい文章になってしまった。反省。


まずなにが驚いたって、歌うシーンがあったこと。
いくら「売れないミュージシャン」役だからって、まさか歌うとは思わなかった。
しかもほぼ一曲フルコーラス。しかも弾き語り。あげく曲の終わりごろにはバンドサウンドになっている。*2
当然映画のオリジナル曲だから、聴いてるこちらの感覚としては新曲歌ってはるのと同じですよ。5年ぶりの新曲…!
それだけでもグッとくるのに、監督がイエママファンで気合が入っているのか、いい曲なんですよこれが。
もしかしたら「金剛地はんが久々にマジ歌いしてはる!!」という驚きと感動と金剛地氏のいい声で、必要以上に「いい曲」と思ってしまったのかもしれないが。
ワタクシ、恥ずかしながら、覚えてる部分を心の中で何度も再生して、目のまわりを濡らすということを二日ほど繰り返してました。
とりあえずイエママファンは見に行ったほうがいいと思います。サントラ発売してないんで、聴けるのは映画の中だけですし。
(そうそう、イエママファンにはニヤリとするシーンがありまっせ。ヒントは「本当は金剛地さんのお母さんを使いたかった」(監督談))


あと、なにげに静の演技もできるんですよあの人。
そのことは「フォトフレーム [DVD]」見てても思いましたが、でもアレは父親役だったのにも関わらず、"親"って感じがしなかったので、どうも違和感があったのですが*3
今回は見事にハマりました。さすが監督が「この役は金剛地さんに」(とかなんとか)というだけのことはある。自然すぎる。
むしろなんでこういう普通の役をもっと演じないのかと。くそーくやしいなぁ。やれば出来る人なのに。*4
もっといろんな役をやってるのを見たい、と初めて思ったっす。
「役者・金剛地」の凄さがわかってきたっつうか。おぉ、珍しくこんなにホメてるな私。


そういえば映画が終わって、舞台挨拶の時間になり、七三メガネにピッタリスーツ姿の金剛地が出てきたとき、思わず笑ってしまいましたが、ちょっとがっかりもしました。なんか現実に戻った感じがして。
映画の中の金剛地の方がよっぽど現実味あふれてる感じがするのにね。ふしぎー。

*1:タイトル「苦悩の森」て。売れないのがわかりやすすぎる。

*2:クレジット見たら「演奏:金剛地武志」になっていた。ていうことは、このバンドの音も全部一人で?

*3:「妻の連れ子を育てている」という設定だったらよかったのだろうが

*4:あ、でも"普通の状態からいきなりテンションを上げる"という演技は、何度やっても上手くなってないや。だからここ最近のイグザンでのキレキャラ見てて辛いのか。キャラクターに無い行動だから不安になる、というのもあるけど。